悔しいけど心動かされた話し。 プロフェッショナル 仕事の流儀 「かこさとし 最後の記録」を見て。

あざとい。
 
「忌の際」を録り溜めて見せるなんて。感動ポルノの極みじゃないか。
 
でも、その下司さ加減、残酷さ、そう評される怖さを乗り越えてこのプログラムをものした、ドキュメンタリー作家としての矜持に感謝する。
 
 
昨今だるまちゃんシリーズのイメージが喧伝されていたので正直、あれ、違う人だったのかな、と思い惑っていたのだけど、僕にとっても「かこさとし」さんは大事な先生だったことを「突合」し、「確認」させてくれた。
 
あらゆる事象をクドい程細かく絵本というフォーマットの中に落とし込む手法こそ、かこさとしの真骨頂であり、かつて幼い日の僕に多大な影響を残した「見失っていた」絵本作家の「正体」だった。
 
これからしばらく、僕はこの人の残した物を追うことになるかもしれない。
 
その人こそ、僕の中で求めても追いきれないでいる、憧れの先にある「誠実さ」を創作の世界の中で示してくれた一人だったことを、鮮やかに思い出させてくれた。
 
 
その創作の原点となった誓い。
 
そして、80を越えて命を削りながら創作に向き合うその姿。
 
 
まだまだ「宿題はある」と言う。自分の「これまで」をなにも誇らず、死の21日前でさえ、駆り立てられるように「天命」を果たすための「これから」を見つめる。
 
その姿の前では、自分のなにもかもが恥ずかしく思える。
 
 
救いは、自分には多分まだ少々の取り戻すための時間が残されていること。
 
そしてもう一つ。
 
決して「死に様」ではなく、最後の一滴まで絞りきるようなその「生き様」を見せてもらえたこと。
 
 
この姿を見て力にできないとしたら、人として嘘だと思う。