助け船が豪快に水しぶき上げて通過していった話し。

私の所属の担当は割とベタな庶務、総務というヤツです。

建物管理や修繕、備品や消耗品の購入なんかと並んで給与計算やそれに付随する社会保険とか源泉徴収なんかの税務関係の手続きなんかも業務の範囲内です。割とアウトソーシングされがちな業務でもあるとは思いますが、うちはコンサバな職場なんでほぼ自前でやってます。

で、当然この辺をカバーしているといやでも同僚の個人的な事情が業務上の情報として入ってくるんですね。

このご時世、できるだけ人の秘め事には関わりにならずにいたいものなんですけどそうもいきません。

特に離婚についてはやはり同僚に知られることに抵抗感がある人も多いようで、ギリギリまで黙ってる人もいるみたいなんですが、そうは言っても扶養控除とか配偶者手当とか社会保険の手続きなんかもあるのでコッソリ担当者だけにお話しなんてこともあるわけです。

ちなみに今その辺を担当しているのは「姐さん」です。
幸いうちの職場では世間で言うほど頻繁に離婚話を聞くことはないようなんですが、いざそうなるとあまり広い範囲に話せないだけについ「はけ口」になってしまい聞きたくない話しを聞いてしまうこともあるみたいで、自分で「悪いムード」を払拭するのが苦手な「姐さん」にはとりわけ苦痛なことになってしまうこともあるだろうなと思います(かと言って「秘密の相談」を我々に漏らすわけにもいかないですからね)


さて、今日はたまたまぶっちゃけるタイプの人が相談にみえていまして

私も聞こえる範囲に座っていたので否が応でも事情が入ってきます。その同僚、仮にAさんとします、はよく姐さんに懐いて?いるようでたまーにフラーっとうちの部署に来てはほぼ一方的に1~2時間マシンガントークをしては満足して帰っていく人でした。

今日はさすがに神妙な雰囲気でかがみ込んで姐さんに

「私、実は離婚しましてー」

と話し始めたのですが、詳しい内容はネタには関係ないのでここでは割愛させていただきます。

離婚なので当然と言えば当然なのですが、円満な雰囲気ではないんだろうな、ということは伝わってきました、という点だけに留めたいと思います。

そんなことがあったのがお昼頃。


それからしばらくして夕方頃、早上がりの姉さんが帰ってしまい、ボスが出張に出かけたタイミング。事務所の中には私、サワヤカ君、姐さんの3人という状況です。

「あ、Aさんが別居始めた日ってAさんの誕生日、、、」

と気付いて思わず呟いてしまったふうの姐さん。

いつもはリアクションの大きいサワヤカ君が掠れた声で

「マジッスかー、、、キツいっすね、、、」

姐さんの言葉にはなんやかやと反応する私も「まだ荷物の整理も終わっていない部屋の壁を見つめながら孤独を噛みしめるいつもはマシンガントークなAさん」を想像して思わず目を閉じてしまいます。

職場に沈鬱な空気が流れました。

(いかん。「換気」をしなくては)

姐さんのムードを変えることを第一の仕事と心得ている私はその雰囲気を噛みしめる間もなく空気を換えるネタを探し始めます。

「いやー、、、Aさんそりゃ辛かっただろうけど、今までずっと誕生日祝ってくれる家族が居たわけじゃない。
 私なんかここ20年誕生日もクリスマスもずーっとお一人様ですよ!」

 

ええ、結局出たのは十八番の自虐ネタでしたorz

反応は?肝心の姐さんの様子を窺うと、どう反応して良いか戸惑ってるようで若干動揺しているようにも見えます。

滑ったか?

 


が、その次の瞬間、、、

「どっひゃひゃひゃ、それ最高に笑えますね!」

と心の底から楽しそうに笑いはじめるサワヤカ君。

釣られて笑う姐さん。

良かった、、、姐さんのちょっと引きつったような笑顔を見てそう思うと同時に、、、

ついこの前結婚するまではそこそこいい歳の独身だったサワヤカ君。

私ほど寂しい人生は送っていないだろうけどそこまで笑うか?と思わずにはいられなかったのです、、、